スチームパンクロコモーション
水と推進機関…水を水蒸気にして、加熱してタービンに吹きつけ回転、推進力に変換。
いわゆる蒸気タービンである。蒸気機関もあるけど…
電気をつくる場合であっても原理はそう変わらない。
とにかくまぁ以前にも書いたが「湯を沸かす→推進、発電」というのは我らが
人類にとって非常に重要な行為である。
しかし、ガソリンなどの内燃機関では通常は水が含まれてしまうと
エンジンのトラブルが発生してしまう。
エンジンオイルに水が含まれたりしたらろくなことにならない。
…の一方で。かつての旧日本軍やドイツの戦闘機では
エンジンのパワー向上を狙ってガソリンを燃焼させる際に、同時に
水メタノール噴射を行っていた。(アメリカでもやってたようだ)
例えば零戦の後期の機体の多くは装備してたな。
いや、実のところ水メタノール噴射で確かに短期的にはエンジンの
パワーを引き上げることは可能なのだ。
現在でもラリーカーのようなマシンではエンジン水噴射は使われている。
ただ逆に言うと短期的にというのが問題で、整備においてはかなり
不利になる。
エンジンオイルに水が入るからその度オイル交換。
ただでさえ資源が少ない国でそれはやっちゃいかんかったのかもな。
旧ソ連みたくアホほど大量生産、エンジンごと交換なんてことが余裕で
出来る状況ならその手もありかもしれないんだが…
水噴射方式というのはある意味そんなわけで鬼っ子だったのだけども。
近年になって水素燃料自動車の研究が進んできた際に、このパワーを出せる
特性が注目を浴びはじめた。
水素燃料でどの道排出されるのは水なのだ。だったらもういいやん。
そして近年水素燃料+水噴射型エンジンは特許化された。
地球に優しくハイパワー。おまけに燃料の一部はただの水。
水素エネルギー開発研究所(http://www.haw-system.jp/)で開発されてるみたい。
レーザー推進においても水を使うという方法が有効なのではないかという
話が出始めている。
NASAではレーザーによって3万度の高温に大気を加熱し、それにより70mまで
ライトクラフトを飛行させた。
一方東京工業大学の矢部孝教授はレーザーの当たる面に水をたらした。
すると水蒸気が発生し…得られるパワーはNASAの方式の1000倍ともいえる
すさまじい推力を発生させられることがわかった。
もうここまできたらレーザー推進で飛行機作るのも現実的にありかもしれない。
ロケットの噴射ガスに一部加えてもいいかもしれない。
液体水素と液体酸素よりも体積とらないからなぁ。
(比推力低下するかもしれないがそれはそれ)
液体酸素+ケロシン+水という組み合わせで第一段を構成するのもいいかも。
原子力あたりが使えるなら完全な蒸気ロケットも現実的か?
レーザー推進と組み合わせるならかなりおもしろいかもしれないな。
でも一番楽しそうなのは石炭で飛べるロケットが出来たら…
なんというスチームパンク。
なんで水がこんなに重宝されるのか。
水は100度で沸騰し、水蒸気になる。100度ってことはたったの373Kである。
373Kのとき18mlの水が一気圧で30リットルの水蒸気になることになる。
1000倍以上である。
惑星間飛行に水を使うのはどうか、というアイディアもある。
原子力で加熱した水蒸気噴射でそこそこ高出力を得られそうだからだ。
化学燃料は短時間では超高出力だが、長時間持続させられない欠点がある。
水と液体窒素を用いた非燃焼型ロケット(CEES)の開発も行われている。
こちらはなんと、燃焼を行わないというのだから別の意味で驚きである。
ペットボトルロケットですら相当な出力でかなりのものを飛ばせるという
ような話である。
水蒸気推進…どうやらまだまだ我々人類は湯を沸かさねばならないようだ。
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